愛育保育園はどうしてできたのか?

 園長と副園長(夫婦)お互いに小中学校の教諭として働いていましたが、仕事と子育ての両立から子どもを保育所に預けて日々過ごしていました。結構スムーズに両立できたのも保育所の存在があったことと有り難く思います。そんなある日仕事の都合で一番遅く迎えに行った時、二人の我が子は手をつないでカバンを首にかけ、カーテンのしまった薄暗く誰もいない部屋で泣いていました。二人の手を握り「ゆうやけ こやけで…」の歌を歌いながら今にも涙が出そうなのをこらえ必死に歌ったのが、今も胸に茜色とも灰色ともいえないものが焼きついています。それから東広島市に帰り保育行政から乳児保育、保育時間にたいして他市での熱い想いを微力なものではありますが、支援していきたいことから昭和55年4月1日無認可乳児保育施設「愛育園」を開設しました。家庭的な雰囲気で和気あいあいの保育の日々から12年半目に認可保育園「愛育保育園」ができました。


 保育のなかで大事にしていること

 いろんな人とかかわることで人として成長していくはずなのに、私達は職場で、家庭で、人のかかわりがうまくいかないことを、よく聞きます。昼間、保育園で育つ乳児には保育者と心を通わせあう関係が出発点。そのうち、一緒に食べたり、遊んでいるうちに自分以外の存在に気付き、興味を持ち始めます。時にはトラブルも発生するようになりますが、こうしたやりとりのなかで自然とかかわりに必要な言葉を覚えたり、交わる楽しさを身につけていきます。乳幼児期に友達と一緒にいることが楽しくてたまらない経験や、親や周囲の人の温かさが伝わってくるような交流をたっぷりすることが、大人になったときの人間関係の基礎になるのではないかと話し合っています。


 いま、子どもをとりまく生活環境は・・・

 以上、今、子どもを取り巻く生活環境のいくつかをとりあげてみましたが、決して好ましい状況ではありません。子どもも自らの力で育つことも難しいし、親もまた子育てしにくい環境に置かれているようです。ですから、保育園の果たす役割やあり方も、随分変わってきました。子どもたちと一緒に保護者、保育者も育っていける保育園に一層なっていけたらと思います。


 だから、みんな一緒に保育を創り出そう

 子ども、とくに乳幼児期の子どもは自分のおかれている状況について発言できません。自分の生活環境を自分で選ぶこともできないからこそ私達大人が守っていかなければいけません。保育の根底に流れている、「こころ」が生き続け子ども一人ひとりの幸せを願って今年度の園目標を「人との関わりの中で豊かな心を育てよう」と決め、何をどのようにしたらよいのか話し合いました。職員全員でまずテーマを「みんなといっぱい お話しよう」とかかげました。カリキュラムを一掃しながら子ども、親、保育者の三者が保育に、また保護者会にと色々と話し合いながら協働性の方向で保護者会の役員会に職員も参加し一緒に考え時間をかけて一歩一歩進めていきたいと願っています。


 愛育保育園のあしあと